<Header>
<Author: 王維>
<Title: 積雨輞川莊作>
<Format: 格式不明>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文有假名>
<style2: 日本現代譯文附假名標注>
<TranslatedTitle: 積雨輞川莊の作>
<BookPage: 140>
<UsedPage: 1>
<Feature: 0>
<End Header>
<Poem>
積雨空林煙火遲，
蒸藜炊黍餉東菑。
漠漠水田飛白鷺，
陰陰夏木囀黃鸝。
山中習靜觀朝槿，
松下清齋折露葵。
野老與人爭席罷，
海鷗何事更相疑。
<End Poem>
<Translation>
長雨（ちょうう）が降（ふ）り続（つづ）き人（ひと）の気配（けはい）のない静（しず）まりかえった林（はやし）に、炊煙（すいえん）がゆっくりと立（た）ち上（あが）っており、あかざをゆで、きびの飯（はん）をたいて、東（ひがし）の田（た）にそれらの食物（しょくぶつ）を運（はこ）んでゆく。雨（あめ）に煙（けむ）って薄暗（うすぐら）く広（ひろ）がる水田（すいでん）に白（しろ）いさぎが飛（と）び、盛（さか）んに枝葉（えだは）が茂（しげ）って暗（くら）く見（み）える夏（なつ）の樹木（じゅもく）に、黄色（きいろ）いこうらいうぐいすが鳴（な）き続（つづ）けている。

この山中生活（さんちゅうせいかつ）に心（じょころ）を静（しず）かに保（たも）って、朝咲（あさき）いて夕（ゆう）べにしぼむむくげの花（はな）に人生（じんせい）のはかなさを見（み）きわめ、松（まつ）の樹（き）の下（した）に精進潔斎（しょうじんけっさい）して、あおいを折（お）り取（と）って食（た）べる生活（せいかつ）をしている。この田舎（いなか）おやじであるわたしは世（よ）の人々（ひとびと）と立（た）ちまじり、すっかりその人々（ひとびと）の仲間（なかま）になりきっているはずなのに、どうしたことか、列子（れっし）に見（み）える海辺（うみべ）のかもめのように、世（よ）の人々（ひとびと）は、なおわたしを疑（うたが）って心（こころ）を許（ゆる）そうとしないのだ。
<End Translation>